Bella Notte
雨が降り出して
―――― 「それでは、新郎新婦のご入場です!」
司会の明るい声でハッと我にかえる。
披露宴会場に着いて席に座れば、何故か隣は桜井。
今日は頼りになる親友もいないし、悪友の奴がいれば多少は気がまぎれるか。と気持ちを切り替えた。
音楽に合わせて階段上の扉が開く。
一斉に拍手が鳴り響いて、「綺麗!」とか「おめでとう」と歓声が上がる。
花嫁さんと井川君は本当に幸せそうに笑っててあの頃から遥か遠くに行ってしまったんだな、と少しだけ胸が痛む。
「なぁ、楓。」
拍手に紛れて耳元で桜井が囁く。会場は暗転していて、いきなり耳元で声が聞こえて来た事に少しだけ驚く。
「大丈夫か?」
大丈夫だと答えようとして桜井の方を見れば、余りの近距離で危うく唇が触れそうになる。
薄暗い中でも分かる気遣う様なその瞳。
慌てて身体を反らして距離をあけた。
「全然、平気だから今日ここにいるんだよ。」
そう微笑めば、桜井が少し固まった気がした。
「そんな事言ったら、2人に失礼でしょ。」
―――― 楓はいつもそう。強くないのに強がって、突き放してくる。
桜井が楓の心のその柔らかな部分に触れようと何度近づいても決して触れられない。
今だって美しい微笑みに気持ちを隠してオレを遠ざける。
悪友時代が長すぎて、もうこの立ち位置から動けそうにもない。
司会の明るい声でハッと我にかえる。
披露宴会場に着いて席に座れば、何故か隣は桜井。
今日は頼りになる親友もいないし、悪友の奴がいれば多少は気がまぎれるか。と気持ちを切り替えた。
音楽に合わせて階段上の扉が開く。
一斉に拍手が鳴り響いて、「綺麗!」とか「おめでとう」と歓声が上がる。
花嫁さんと井川君は本当に幸せそうに笑っててあの頃から遥か遠くに行ってしまったんだな、と少しだけ胸が痛む。
「なぁ、楓。」
拍手に紛れて耳元で桜井が囁く。会場は暗転していて、いきなり耳元で声が聞こえて来た事に少しだけ驚く。
「大丈夫か?」
大丈夫だと答えようとして桜井の方を見れば、余りの近距離で危うく唇が触れそうになる。
薄暗い中でも分かる気遣う様なその瞳。
慌てて身体を反らして距離をあけた。
「全然、平気だから今日ここにいるんだよ。」
そう微笑めば、桜井が少し固まった気がした。
「そんな事言ったら、2人に失礼でしょ。」
―――― 楓はいつもそう。強くないのに強がって、突き放してくる。
桜井が楓の心のその柔らかな部分に触れようと何度近づいても決して触れられない。
今だって美しい微笑みに気持ちを隠してオレを遠ざける。
悪友時代が長すぎて、もうこの立ち位置から動けそうにもない。