Bella Notte
 そう。
 惚れた弱みだと気付いたのが中学時代。

「こんな事言ったら井川から怒られるだろうけど、花嫁(ますだ)さんより(おまえ)のほうが綺麗だよ」

 そう言ってもきっと楓は相手にもしてくれない。
 きっとあの日みたいに、この手をすり抜けていく。

 
 ――――いつもなら、悪い冗談だと軽く受け流すハズなんだけど。

 桜井がこのタイミングで久しぶりに優しい励まし何てするものだから、思わず涙目になり少し俯いてしまう。
 あの日もそうだったな。
 あの雨の日。

 文化祭が間近に迫った放課後の作業時間。
 金木犀が香る甘くて苦い思い出。

 
 ―――― 今年もこの時期がやってきた。

 灼熱の夏が終わりを告げ、空が段々と高くなり朝晩が肌寒くなってくる。
 運動会がやっと終わったと思ったら、文化祭だ。

 その間には定期テストもあって、中々大変な時期だけれどイベントは盛り上がる派なのでいい息抜きになってる。

「ねぇ、桜井。何でハルと友達にもどったの?」

 ずっと疑問に思っていた事をやっとぶつけられるタイミングがやってきたので、思い切って聞いてみた。

 あの夏祭りの後に2人は恋人ではなくなり、友達に戻る事になった。
 ハルが夏休み明けに話してくれて。

 だけれど、それ以上に驚いたのが、2人が気まずくならず、普通に友達として成り立っている事。
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