Bella Notte
告白
帰り道、1つの傘に2人で入りながら文乃に告白した。

「井川君は後輩の増田さんと付き合う事になった」と。

 さっきひとしきり泣いたので、もう涙は出ない。

「仕方ないよね、私は見てるだけだったし。井川君が幸せならそれが1番だと思うし」

 何ていい子ぶった事をいう。

「楓、本当の気持ちをぶつけても私は引いたりしない」

 文乃が優しい事言うから思わず本音がもれ出す。

「本当は凄くショックで、悔しくて、叫びたい気分」

 そう答えれば、静かに頷いてくれた。
 夏祭りから今日まで、井川くんと友達として本当に仲良くしてきたと思う。

 私の独りよがりでなければの話だけれど。

「思い切り、感情を出して沢山周りに甘えていいんだよ」

 そう言って優しく肩を抱いてくれる文乃。
 暖かい言葉と文乃の体温が心を溶かしてくれる。

「ありがとう」

 と言えば。

「でも、失恋した時は同性に慰めてもらってもいいけど、やっぱ異性に優しく抱きしめてもらうとか。そっちの方が立ち直り早かったりするし」

 文乃が驚くほど大人な発言をしてくる。
 いつの間にか隣にいる親友は大人の階段を登ってしまったらしい。

 その言葉に、さっきの美術室裏での出来事がふと脳裏に浮かぶ。

「あ、それ何となく分かるかも」

 悪友とは言え、奴が一応は男子だったのだとさっき初めて気づいた。

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