Bella Notte
 いつもの奴だったら、泣き顔不細工とかからかいそうなのに。

「ちゃんと桜井にお礼言っときな」

 そう言って文乃は、優しい笑みで私の頭をポンポンと撫でてくれた。
 それからしばらくハルの話になった。

 ハルが何かに悩んでるのは文乃も気付いているって教えてくれた。
 だけれど、今は見守るのが優しさだってそう少しだけ寂しそうに笑った。

 途中で文乃の傘から出て、家までの道を走る。
 今や本格的に降り出した雨は、とても冷たくて体温を奪う。

 冷たい雨に降られて、私のこの燻った恋心も冷えていく気がした。

***

 文化祭も明日に迫った夕暮れ時。

 ハルが私と文乃に話があると、声をかけてきた。
 準備は桜井へと丸投げして少しだけ抜け出す事に。

「この貸しは高くつくぞ」

 そう言って送りだされて、待ち合わせの教室へ向かう。
 そこは、文化祭の準備が終わり皆帰宅した後で私達だけの空間だ。

 ハルが俯きがちに、黙ったままなので私と文乃は顔を合わせた。

「話すまで待ってよう」と瞳で会話する。

 教室内が一際オレンジ色に染められる頃、ハルが話し始めた。

「あのね、桜井と友達に戻った訳をやっと話せるかなって決心ついて。2人共聞いてくれる?」

 少し緊張した表情で聞いてくるその様子。
 私と文乃はそれぞれ無言で頷いて、続きを促す。

「……実は、私女の子が好きみたいで……」

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