Bella Notte
「何か、一気に冷めた。私にも悪い所あったけど……」

 その続きを遮る様に実は、と文乃が言うには。
 文乃の勤める製薬会社の取締役のご令嬢が半年前に婚約したらしく。

 昨日行われたお披露目会に出向いてみれば、お相手は何と件の元カレ。

「今日なんて伝えようかってすっごく悩んだんだけど、楓、もう本当にあのクズは相手にしない方がいいと思う」

 だんだんと美しい顔が般若のようなお顔に……。

「文乃、ありがとう」

 そっか、浮気されたって思ってたけど私の方がそうだったんだ。

 知らなかったとは言え、婚約者に申し訳ない気持ちが溢れてきて……。

「っ……ふっ……」

 目頭が熱くなって、頬を涙が伝い。
 何も言わずに文乃はただ優しく頭を撫でてくれる。

 そのうち、疲れが出たのか、うとうととソファの上で夢に落ちて行った。



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