Bella Notte
 昨夜と今朝の桜井を思い出すと、ドキドキするし、そういう事されても不思議と嫌ではなかった。

「キスでもされた?」
 いきなりそんな事をあけすけに聞かれて、健人君が差し出してくれたミルクティを取り落としそうになる。
「な……」
 開いた口が閉まらない状況。
 目は口ほどに物を言うその状況がいたたまれない。

「ふーん」
 健人君は少し困ったような表情を浮かべている。
「女性同士の話だから、席を外した方がいいかな」
 なんて言い始めて席を外そうとしてるし。

「健人さん、楓の親代わりなら、一緒に聞いていて下さい」
 ニッコリ笑って引き留めるような事を言う文乃は何故か少し怖くて。
 ……2人の間に何かあったのかな。

「ごめんね、付き合いたいけれど、サロンの準備の時間なんだ」
 そう言って、手を振って出かけて行った。

「……チッ」
(文乃、今舌打ちした?)
「それで、話を戻すけれど、そうされて嫌だったの?」
 いや、ではなかった。
 ただいきなりで戸惑ったし、いつからそうだったのか本当に心当たりがなくて、と心の中で考えている。

「うん、楓は全くなにも気づけていなかったからね」
 相変わらず表情で言いたい事を感じ取る神業。
「何も言ってないのに」
 やっぱり、文乃は気づいていたんだと確信して。
「楓は、分かりやすすぎるんだよ」
 と笑われる。

「い、いつから?」
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