疎まれ令嬢の一途な政略婚
「あの、それは……」
『困る』と言いかけて、どうしようかと迷う。瀬戸口さんは親切心でそう言ってくれてるに違いないし、断るにしても彼を納得させれるだけの理由が見つからない。
そうこうするうちに、駐車場へと連れてこられ瀬戸口さんの車に乗るように言われて……諦めて本当の事を話すことにした。
「本当にもらわなくて大丈夫なんです、私はスマホを持っていますから」
「え? ですが浩晴は、貴女にスマホは持たせていないと……アイツ、何でそんな嘘を?」
取り敢えず助手席に乗るように言われて、私は瀬戸口さんの車のドアを開ける。この人らしいシンプルだけどこだわりを感じる車内で、不思議と気持ちが落ち着く気がした。
「その、差し支えなければ理由を聞いてもいいですか?」
「私もその事を瀬戸口さんに隠した理由は聞いてないのですが、多分……私達が直接連絡を取らないようにする為ではないかと」
それがどうしてなのか? と聞かれれば、自分にも分からないとしか言えないけれど。話した後の反応から、逆に瀬戸口さんの方に何か心当たりがあるようで。
しばらく何かを考えているようだったので、私はその間は黙っておくしかなくて。それから少し経って、瀬戸口さんが躊躇うような表情で質問してきたのは……
「もしかして、そのスマホの内容も浩晴に監視されていたりするのですか?」
「……」
今、瀬戸口さんはスマホの内容『も』と言った。
つまり……この人は私があの家で、自分の家族からどんな扱いを受けているのか知っていたりするの――?


