疎まれ令嬢の一途な政略婚
 質問の意図が分からなくてそう聞き返すと、男性は小さく頷いた後にしっかりとこちらに目を合わせてきて。

「では細かい話は後にして、まず自分から自己紹介をさせてもらいますね。俺の名前は瀬戸口(せとぐち) (あき)……この名刺に記載されているように、りょうと書いて『あき』と読みます」
「あきさん、と読むのですか。とても素敵なお名前ですね」

 渡された名刺は、細かな部分のデザインにまでこだわりを感じる。この人はきっと、自分の仕事に対して誇りを持っているのだと思えた。
 
「都内でデザイン企画を専門とした会社を経営しています。まあ、それもやっと軌道に乗り始めたところではありますが」
「そうなんですね。もしかしてこの名刺も、瀬戸口さんがデザインされたものなんですか? 他にはどんなデザインをされたりするのでしょう、もっと色々見てみたくなります」

 こんな素敵なものを作り出していく、自分には未知の世界だけど本当に凄い事だと思えて。興味が湧いてしまい、つい一人でベラベラと喋ってしまった。
 瀬戸口さんはそんな私に少し驚いた表情をしたけれど、すぐに笑顔で……

「興味があれば俺のオフィスに見に来てもらっても良いですよ? 仕事内容を理解してもらえていた方が、将来のためになりますし」
「将来のために、ですか」

 そう言われて、私は自分が結婚した場合に仕事をどうするか考えてなかったことに気付く。その事について兄からは、特に何も言われてはないけれど……
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