傷だらけのシンデレラ 〜再会した元恋人は溢れる愛を押さえきれない〜
「し、しかし…!田沼社長がこの問題を公にし、訴えられれば君もタダでは済まんだろう!?」

「訴えられて困るような事案をお持ちだったのは田沼社長でしたので、そこは和解できていますのでご心配なく」


名取くんの決して揺るがない毅然とした態度に、お父さんは悔しさのあまり歯を食いしばる。


「ですが、断りなしに澪さんと結婚したことについてはお詫び申し上げます。今後については改めてご挨拶にお伺いしますので、彼女も疲れていることでしょうし、今日のところは…」


そう名取くんが促し、お父さんたちを連れて帰ってくれた。


あんなに怒ったお父さんは初めて見た。

わたしだけなら萎縮してしまっていたけど、名取くんが守ってくれた。


「キミは幸せ者だね。あんなかっこいい人がパパなんて」


ひとりになった病室で、わたしはお腹をなでる。


…でも、まさかこんなことになるなんて。

これでますます、公にでもなれば名取くんの立場が危うくなるかもしれない。


でも――。


『澪さんと僕はすでに婚姻関係にあります』

『澪さんは僕の妻で、お腹の子の父親は僕です』


名取くんがお父さんたちに向かって堂々とああ言ってくれたときは、…本当にうれしかった。

それに、名取くんもこの子を守ろうとしてくれているんだって。


…だけど、本当にこれでよかったのだろうか。


わたしは、小さな小さな命が宿っているお腹にそっと手を当てた。
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