13年後に再会した幼馴染と愛され生活始めます。
「蒼士のことも最後まで守れなかった。人生で、私が誰かをちゃんと守ってあげられたことなんてなかった」
「なぜ、そんな風に自分を追い詰めるんだ。実際、俺は美澪に相応しい大人になりたいがために頑張って来られた。風邪すら治してあげられない自分に辟易とした。あの日が人生で一番最悪の日だった。もう、あんな惨めな思いはしたくない。後悔するのは、懲り懲りなんだ」
「違うの。蒼ちゃんは何も悪くない。悪いのは全部、私……」
「美澪、誰のことを言っている? 今、君は俺とは違う誰かのことを言っている気がしてならない。俺には君に守られていなかった過去はない。何かを抱えているなら話してもらえないだろうか。俺では、一緒に美澪の過去を預けられないだろうか」

 話して楽になるならそうしている。けれど、きっとこんなことを言っても困らせるだけだ。
 首を横に振り、聞かないほうがいいと答える。
 しかし蒼士は引かなかった。

「運命だと思ったんだ。迎えに行こうと思っていた美澪が救急車で運ばれてきた時、神様が連れてきてくれたと思った。あの日、力になれなかった俺にチャンスを与えてくれたのだと」
「でも私は、もう蒼ちゃんが思うような人じゃない。蒼ちゃんに相応しくない、酷い人間なの」
「それは俺が判断することだ。美澪がそこまで頑なに拒む理由を教えてくれないと諦めようもない」
「……」
「美澪……」

 蒼士は怒っているわけではなかった。
 ただ美澪に寄り添えないのが寂しいと訴えてくる。
 二人の距離はどんどん狭くなってきているのに、心はどうしても重ならない。そのもどかしさに、どこか焦りを感じているようにも捉えられた。

「わたし……わたしは……」
 声を詰まらせながら覚悟を決める。
 これで嫌われれば、元の生活に戻るだけだ。それを怖いと思っているから言いたくないと思ってしまう。
 けれど、もしも何も知らないまま蒼士が諦めてしまったら……美澪に愛想を尽かせてしまったら……そう考えると、そっちの方が余程怖かった。

「私には……子供がいるの……」
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