13年後に再会した幼馴染と愛され生活始めます。
 酷い、酷い。あれだけ美澪を非難して連れて行った沙莉を蔑ろにされていたと知り、美澪は心の底から湧き上がる怒りと、沙莉への謝罪の念で押しつぶされそうになった。
 自分では堂することもできなかった。
 きっと、同じタイミングで美澪が元夫に接触したとしても、沙莉と会わせてはもらえなかっただろう。

 それはきっと、相手が海堂蒼士だったから叶ったことだ。
 無力な自分に腹が立つ。
 母親なのに、守ってあげられなかった。

「美澪はきっと諦めてないと思っていた。かと言って、向こうも男の変な意地があったらしい。これから沙莉をどうするのかと訊いても答えられなかった。俺は沙莉を取り返す絶好のチャンスだと思った」
 
 実は美澪から子供がいると聞いた蒼士は直ぐに動いてくれていたらしく、美澪と入籍した暁には必ず自分たちの子供として迎え入れようと決めていたのだと言った。
 元夫のことを調べあげ、夫婦仲が悪いと知った。
 後妻との間に産まれた娘も、元夫には懐いておらず、父親らしいことは何もしていないという実態を知った。

「それで、蒼士が……」
「俺はそこでようやく美澪の名前を出した。実は美澪と結婚するのだと。沙莉を自分たちの子供として迎え入れたいと願い出たら、表情が一気に明るくなった」
 自分が面倒を見なくても良くなった。
 離婚をしても子供がいたんじゃ自由が利かない。

 突然現れた男が子供を引き取るなんて言うとは考えもしなかっただろう。
 最初は蒼士を不審に思っていたも元夫も、沙莉から解放されると二つ返事で了承したらしい。

「子供の養育費と引き換えに……なんてのはただの口実だったようだ。一銭の費用も要求されなかった。だから今日、迎えに行くとだけ約束をして、あっさりと沙莉をここに連れてこられた」
 正直、調べる時間のほうが何倍もかかったと蒼士が零した。

「じゃあ、私はもう沙莉と離れなくていいの?」
「勿論だ。俺との養子縁組も手続きを進めている。沙莉は列記とした海堂の娘だ」
 美澪の子供なんだから。
 蒼士は当たり前にそう言った。
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