13年後に再会した幼馴染と愛され生活始めます。

 終始元気いっぱいの沙莉だったが、おやつを食べるとスイッチが切れたように眠ってしまった。

「本当は、凄く緊張していたんだ。今日一日、沙莉は『ママ、本当に喜んでくれるかな』と、そればかり口にしていた。父も妻も祖父母も沙莉を邪魔者扱いしていたからだろうな。自分はどこにいても歓迎されないと、思い込んでいる」

 ソファーですやすやと眠っている沙莉の髪を撫でる。

「嬉しいに決まってるのに……ずっと、我慢してきたんだね」
「遠慮して、何も欲しがらない。昔の自分を思い出してしまって」
「ん、わかる気がする」
「美澪が妊娠してるって知らずに連れてきたけど、新しい妹も一緒に、たっぷりと愛情を注いでやろうな」
「蒼士がそう言ってくれるなら、心強いよ。出産までに、沙莉といろんな所に遊びに行きたい」

 最後に沙莉と会ったのは二歳の頃だった。
 まだ小さかった彼女が、もう小学生になるのだ
 眠っていると身長が伸びたのがよく分かる。
 言葉だって、こんなにもハキハキと喋るようになっているものなのか。
 感動はじわじわと溢れ出し、美澪はまた涙ぐんでしまった。

「ずっと、離れないでいようね」
 寝顔に話しかけると、沙莉が微笑んだ気がした。

 沙莉は目が覚めても美澪から離れようとしなかった。
 彼女がどんな反応を見せるか、美澪は不安になりながらも隠しているほうがよほど辛いと思い、今、お腹に赤ちゃんがいることを告げた。

「まだね、分かったばかりなんだ。赤ちゃんが産まれたら、沙莉と赤ちゃん、二人とも一番大切だからね。それだけは忘れないでね」
「沙莉、二番目でもいいよ。ママが沙莉を好きでいてくれるなら」
「沙莉も赤ちゃんも、私にとっては一番なんだよ。それはずっと変わらないんだ」
「私も、赤ちゃんも一番?」
「どっちか一人だけじゃないといけないなんて決まりはないんだよ。二人でも三人でも、一番になっていいんだからね。沙莉、ママのこと好き?」
「大好き!」
「やった。じゃあ、赤ちゃんのことも、ママと同じくらい好きになってくれる?」
「うん、新しいパパも赤ちゃんもみんな一番好きになる」
「ありがとう。沙莉は優しいね。もう少し経てば、少しずつお腹が大きくなってくるの。そうしたらね、沙莉がいっぱいママを助けて欲しい」

 沙莉は大きく頷いた。
 子供にはまだ現実味がない話かもしれないが、沙莉は真剣に受け止めてくれて安堵した。
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