色褪せて、着色して。~黒薔薇編~
 殿下のご両親・・・
 あの蘭殿下のひねくれた性格は幼少期の環境のせいではなかったのだ。

「アップライトピアノまで用意してもらって…あの殿下の親なのに」
 さっきから失礼なことを言いまくっているが、誰も突っ込んでこない。
 バニラはニコニコしながら見守っている。

「姫様。お客さんです」

 玄関先から大声でスズメが叫んだ。
 姫様なんて、むずがゆい呼び名だが。
 とある国からやってきた王族の姫君という設定なので仕方ない。
 今回は、またエアーという呼び名で過ごさなければならなかった。

 玄関先にいたのは、さっきまで一緒にいたスペンサー侯爵だった。
「エアー姫様に話がありまして」
 小柄だけど、鍛えられた筋肉は衰えることなく。
 鋭い目で私を見ていた。
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