色褪せて、着色して。~黒薔薇編~
 指をさした男は、こっちに近寄って来る。
 何を言っているのか理解ができない。
「あんたみたいな怪しい奴、俺一人で充分だあ」
 近寄って見ると背が高い。
 身長は180cm近くあるのではなかろうか。
 坊主に近い髪の毛は青色で。
 ニヤニヤ近寄って来る男に私は悪寒を覚える。
 生理的に無理!!!

「近寄らないで。無礼者」

 思わず、大声で叫ぶと。
 男は「ほおー」と言ってニヤニヤ笑いだした。

 どうやら、私はここでも不審者扱いされているようだ。
 スペンサー侯爵は来客のことを騎士たちには話していないのだろうか。
「何故、こんなところで一人いるのでしょうか」
 丁寧な言葉で言ってきたのは、意外にもゴリラ顔の男だった。
「わたくしはスペンサー侯爵の…スペンサー家の客です」
 客…という言葉に女性のような綺麗な顔立ちをした男が眉毛を釣り上げた。
「団長から来客の話は聴いていないが」
 なんでだよ!!
 心の中で絶叫したが。
 どうしようもない。

 ベールをかぶってなければ、少しは不審者扱いされなかったはずだ。
 圧倒的に今の状況は不利。
「失礼ですが、お客様でしたら連れの方がいらっしゃないのは何故です?」
 丁寧だけど、目の奥は獲物を捕らえたような…そんな表情を見せるゴリラ。
「連れはすぐそこにいます!!」
 とレンガの家のほうを指さすが。
 3人の騎士は完全に私を不審者と決めつけたようだ。
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