色褪せて、着色して。~黒薔薇編~
 目を閉じていたのは、ほんの数秒。
 風がやんで目をあけると。
 目の前に黒い壁があった。
 うん? と思い見上げると。
 いつかの坊主頭…ではなく。
 見たことのない男が私の前に立っている。

「無礼者」

 男が言い放った先に転がっていたのは。
 さっきの失礼な騎士たち3人だった。
「失礼します」
 くるりと振り返った男は、オペラ座の怪人に出てくるような白い仮面をつけている。
 メグミさんと勘違いしたのは、国家騎士の格好をしていて。
 更に背が高いせいだろう。

 男は私をお姫様抱っこしたかと思うとすぐに走り出した。
 周りの景色が高速で過ぎ去っていく。
 ものの1分で、レンガの家の前に辿り着くと。
 男はゆっくりと私を降ろした。
「俺のことは誰にも言わないでください」
 
 え…と声を漏らすこともなく。
 男の姿は見えなかった。
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