色褪せて、着色して。~黒薔薇編~
 私が顔を隠していることは、事前に説明しているそうだが。
 やはり初対面のときは驚かれてしまうことが多かった。
 特に最年少の11歳の少年は。
 初対面で泣かれた。
「おんめー、それくらいで泣いてたら生きていけないぜ!」
 近くに立っている青髪男…ことハガネが少年を指さして笑った。
「おだまりなさい、ハガネ!!」

 叱責したところで、後の祭り。
 まあ、相性っていうのもあるということにしておきたい。
 2人きりはまずいから。
 近くにはバニラと護衛たちが立っているわけだけど。
 人がいるにも関わらず、ボディータッチしてくる人もいるわけで。
 何回か接しているうちに。
 オーディションみたいになってきて。
 最終的に13人ほどに落ち着いた。

 週に5日。
 ピアニストの方にピアノについて学び。
 一日中、ただひたすらピアノを弾き続け。
 夕方、バニラを連れて家の近くを散歩する。
 王家の領地で暮らしていた頃とあんまり変わらない生活が始まる。

 一つだけ言えるのは。
 さみしくなかったことだ。
 カイくんたちとは、もう会えない。
 代わりとは言うのは、おかしいけど。
 ナオミとハガネのおかげで。
「さみしい」という感情は一切なかった。
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