完璧美人の私が恋したのは、眼鏡オタクのSEでした

16. 社長室の再会

 一ノ瀬は、本社会議室にて
 三条繊維工業のセキュリティ体制について、
 最終確認の指示を出していた。

 今回の件を受け、外部委託を含めた多層防御、
 社員教育の徹底、ログ管理の刷新――
 すべてを「平時のうちに」整える。

 幸い、事件の詳細は外部には
 ほとんど漏れなかった。
 三条繊維でも
 「一時的なシステム障害」という説明で通り、
 大きな騒ぎにはならずに済んでいる。

 ほどなくして、
 三条 勝が、一ノ瀬の社長室を訪れた。

 「……今回も、本当に助けられました」

 深く、何度も頭を下げる。

 「会社も、社員も、守っていただいた」
 「何度感謝してもしきれません」

 隣では、友梨も静かに頭を下げていた。

 「海さん、ありがとうございます」

 一ノ瀬は、いつもの調子で手を軽く上げる。

 「当然のことをしただけです」
 「それより――」

 そう言って、マサトのほうを見る。

 「白石と、神崎さんを呼んでいる」
 「そろそろ来るはずだ」

 マサトが短く頷き、インカムで指示を出す。

 「……入れ」

 数秒後。
 社長室の扉が、ゆっくりと開いた。
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