冷徹CEOと、一夜から始まる溺愛契約

第1話 没落の果てに


「不採用とさせていただきます」

面接官の女性は、私の履歴書から目を上げることもなく、そう告げた。

机の上の書類には、赤いペンで大きく「×」印が付けられている。

「率直に申し上げますと、あなたの経歴では、うちでは厳しいです。ご理解いただけますね」

見送りもされず、私は一人会議室を後にした。

エレベーターに乗り込むと、鏡に映る自分の顔が目に入る。

やつれて、疲れ果てて。まるで生気を失った人形のよう。

二十四歳。同級生たちは今頃、充実したキャリアを築いているか、幸せな結婚生活を送っているはずだ。

なのに私は――。

十一月の冷たい夕暮れ。ビルの谷間を抜ける風が、容赦なく頬を撫でる。

今月だけで、これで十五社目の不採用。ポケットの中にある、父の病院からの請求書が重い。

支払期限は今月末。あと二週間しかない。

派遣の仕事もアルバイトも、どれだけ掛け持ちしても足りない。


――三年前まで、私はこんな人生を送るなんて想像もしていなかった。

祖父の代から続く中堅不動産会社の令嬢として、何不自由なく育った。

私立大学に通い、婚約者もいて、将来は約束されていた。

それが、ある日突然――父の会社が倒産した。
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