恋に臆病な私と恋を知らなかった御曹司の距離が、ゼロになるまで
「お前は何か悪いことをしたのか?」
「……いえ」
「なら、やっぱり逃げるのは違うだろ。お前は何も悪いことはしてないんだから」
「……そうかもしれないけど、父に何を言っても無駄なんです」
「まあ、一筋縄じゃいかないだろうな」
裕太は苦笑するように肩をすくめた。
「理解してもらえないかもしれない。けどな――悪いことをしてる訳じゃないんだから、堂々としてればいいんだよ」
その言葉には確かな重みがあった。
「確かに親父さんには権力がある。でも会社なんて、努力次第でどうにでもなるものだと俺は思う。俺の会社だって小さいけど社員と一緒に死に物狂いでやってきて今がある。親父さんだって、あそこまで大きくするのに相当な努力をしてきたはずだ。だからこそ譲れないものがあるのかもしれない」
「…………」
「でもな、会社の為なら何してもいいって訳じゃない。お前は後継ぎである前に一人の人間だ。お前にはお前の人生があるし、自由に生きる権利もある」
その言葉に充輝は息を呑む。
「だからこそもう一度、ちゃんと向き合え」
「……向き合う?」
「お前はどうしていきたいのか、分かってもらえないと投げやりになるんじゃなくて、きちんと自分の気持ちを話すんだ。第三者を入れるなりしてでもさ」
「…………」
「逃げたまま終わるな。それじゃあきっと、後悔すると思うから」
そして最後に、裕太は少しだけ柔らかく笑って言った。
「それでも駄目なら仕方ない。いつでも俺のところに来い。すぐに雇ってやるし、生活出来るように住まいも用意する。彼女も一緒にさ。俺はお前の為なら何でも協力する。仕事も生活も力は貸すから、な? もう一度、向き合って来い」
「……はい、ありがとうございます」
充輝は深く頭を下げた。
その後は軽く食事を共にし、他愛のない話を交わしてから別れ、店を出た頃には夜の空気が街を包み込んでいた。
正直、話し合いが出来るとは思わないが、逃げるように九州へ来てしまったことは事実。
沢山の人に迷惑を掛けていることも分かっているからこそ、充輝はもう一度よく考えてみることにした。
「……いえ」
「なら、やっぱり逃げるのは違うだろ。お前は何も悪いことはしてないんだから」
「……そうかもしれないけど、父に何を言っても無駄なんです」
「まあ、一筋縄じゃいかないだろうな」
裕太は苦笑するように肩をすくめた。
「理解してもらえないかもしれない。けどな――悪いことをしてる訳じゃないんだから、堂々としてればいいんだよ」
その言葉には確かな重みがあった。
「確かに親父さんには権力がある。でも会社なんて、努力次第でどうにでもなるものだと俺は思う。俺の会社だって小さいけど社員と一緒に死に物狂いでやってきて今がある。親父さんだって、あそこまで大きくするのに相当な努力をしてきたはずだ。だからこそ譲れないものがあるのかもしれない」
「…………」
「でもな、会社の為なら何してもいいって訳じゃない。お前は後継ぎである前に一人の人間だ。お前にはお前の人生があるし、自由に生きる権利もある」
その言葉に充輝は息を呑む。
「だからこそもう一度、ちゃんと向き合え」
「……向き合う?」
「お前はどうしていきたいのか、分かってもらえないと投げやりになるんじゃなくて、きちんと自分の気持ちを話すんだ。第三者を入れるなりしてでもさ」
「…………」
「逃げたまま終わるな。それじゃあきっと、後悔すると思うから」
そして最後に、裕太は少しだけ柔らかく笑って言った。
「それでも駄目なら仕方ない。いつでも俺のところに来い。すぐに雇ってやるし、生活出来るように住まいも用意する。彼女も一緒にさ。俺はお前の為なら何でも協力する。仕事も生活も力は貸すから、な? もう一度、向き合って来い」
「……はい、ありがとうございます」
充輝は深く頭を下げた。
その後は軽く食事を共にし、他愛のない話を交わしてから別れ、店を出た頃には夜の空気が街を包み込んでいた。
正直、話し合いが出来るとは思わないが、逃げるように九州へ来てしまったことは事実。
沢山の人に迷惑を掛けていることも分かっているからこそ、充輝はもう一度よく考えてみることにした。