Before Dawn.
「…はぁ、はぁ……」
右手がジクジクと痛い。
殴られた場所も、沈むような重い痛みが続いている。
…あぁそういえば、“喧嘩”はこういう事だ。
最近は平和すぎて忘れていた。
大晦日の日とは打って変わって私らはフラフラになりながらも立っていた。
足元で倒れてうずくまっているのは乱鴉の奴らがほとんどで。
…勝った、んだ。
もうこれで四天王に文句は言わせない。
「…雨音、」
「慎…、」
少し離れた場所にいた慎が息を切らしながらもふっと微笑んだ。
そんな慎に向かって歩きだそうとした時だった。
「…雨音ぇぇぇえええッッ!!!!」
叫んだ、という表し方が正しいかもしれない。
今まで余裕を見せて私を名前で呼んでいた乱鴉の総長がバイクに跨っていた。
血だらけでなんとも無様な姿だ。
と、頭の片隅で冷静に思った。