愚かな婚約者様、あなたの"浮気相手"は私の味方ですよ? 〜手を組んだ2人の才女による華麗なる制裁〜
15、エルベルトの紹介と応接室へ
「竜族……?」
「って、あ、あの竜族⁉︎」
「どういうことだ。本当なのか?」
二人がひたすら動揺する中で、カトリーヌは紹介を続ける。
「命を助けていただいたお礼をしたいとの申し出を受けていただき、さらにエルベルト様が知りたいと希望されている魔道具についてわたしがお伝えするため、屋敷にご招待いたしました」
「竜族のエルベルトだ。よろしく頼む」
エルベルトが笑顔で挨拶をしてから軽く頭を下げると、かなり混乱していた侯爵が面白いぐらいに慌てて口を開いた。
「な、そ、そんな、頭をお上げください! 私は竜族の方に頭を下げていただくような存在ではありませんっ」
「いや、俺もそんなに凄いものではない。あまり立場は気にしないでくれ」
苦笑しつつそう言ったエルベルトに、侯爵はなんとか落ち着きを取り戻したようだ。
一度だけ深呼吸をしてから、侯爵らしい態度を取り戻して言った。
「ご配慮感謝いたします。まずは――娘の命を助けていただいたとのこと、本当にありがとうございました」
事情を飲み込めていないだろうが、侯爵はとにかく感謝を伝えた。
するとコレットがカトリーヌを不満そうに睨む。
「カトリーヌ、命の危険に陥ったってことよね?」
少し怖いコレットの問いかけに、カトリーヌは今日の出来事を包み隠さず話すことにした。
「うん。実は採取が終わったところでメタルベアの親子に遭遇して……」
そこからの話を聞いて、侯爵とコレットは顔色を悪くした。さすがに命の恩人とはいえ、絶体絶命のピンチに陥っていたことまでは想像していなかったのだろう。
エルベルトがいなければ、確実にカトリーヌは死んでいた。そんな事実に、二人が深く頭を下げる。
「改めまして、娘を救っていただき感謝申し上げます」
「カトリーヌを助けてくださりありがとうございました」
「ああ、助けられて良かった。本当にたまたまだったからな」
偶然だというエルベルトの言葉に、二人の顔色はさらに悪くなった。そんな中で、ずっと馬車の近くに跪いていたラースとリンに、侯爵の視線が向く。
「お前たちも無事で良かった。……が、カトリーヌを危険に晒したのは事実だ」
侯爵の厳しい言葉に二人はより深く頭を下げた。
「仰るとおりです。いかなる罰も受ける所存です」
「カトリーヌ様を守りきれず、大変申し訳ありませんでした。弁明するつもりはございません」
カトリーヌは二人を庇いたかったが、二人が護衛という職務を全うできなかったことは事実であるため、口を挟むのはやめた。
侯爵は少し間を空けてから、はっきりと告げる。
「一年間の減給と特別訓練を受けてもらう。これは拒否できない。いいな?」
その処置は、自らが仕える主人を危険に晒した護衛に対してと考えると、かなり優しいものだった。侯爵がカトリーヌの気持ちを汲んだのだろう。
「カトリーヌ、それで構わないか?」
「もちろんです。お父様、ありがとうございます」
「エルベルト様もご意見はありませんか? エルベルト様にご迷惑をおかけした原因は、この二人の弱さです。何かあれば仰ってください」
その問いかけに、エルベルトは首を横に振った。
「いや、俺が口を挟むことじゃないだろう。一つ言えることは、そこの二人は必死にカトリーヌを守ろうとしていたということだ」
庇う言葉にカトリーヌの頬が緩み、二人の処遇の話は終わりとなった。
ラースとリンが何かを決意した表情で下がる中、侯爵が雰囲気を変えるように告げる。
「こんなところで話を進めてしまい、申し訳ございません。どうぞ屋敷にお入りください。今夜は歓迎とお礼を兼ねた夕食会といたします。すぐに客室も用意させますので、しばらく応接室でお待ちください」
「色々とありがとう。できればしばらく滞在したいのだが、構わないだろうか」
「もちろんでございます。いくらでもご滞在ください。この屋敷にはカトリーヌのための魔道具研究室がございますから」
「なんと、それは素晴らしいな。しばらく厄介になる」
それからはエルベルトの存在を国に報告しない。侯爵の友人として滞在してもらう。などの話をしながら屋敷に入った。
応接室に向かい、侯爵は諸々の指示を出すために応接室を足早に出ていく。室内に残ったのは、カトリーヌとコレット、そしてエルベルトだ。
三人でソファーに腰掛けたところで、さっそくエルベルトが口を開いた。
「って、あ、あの竜族⁉︎」
「どういうことだ。本当なのか?」
二人がひたすら動揺する中で、カトリーヌは紹介を続ける。
「命を助けていただいたお礼をしたいとの申し出を受けていただき、さらにエルベルト様が知りたいと希望されている魔道具についてわたしがお伝えするため、屋敷にご招待いたしました」
「竜族のエルベルトだ。よろしく頼む」
エルベルトが笑顔で挨拶をしてから軽く頭を下げると、かなり混乱していた侯爵が面白いぐらいに慌てて口を開いた。
「な、そ、そんな、頭をお上げください! 私は竜族の方に頭を下げていただくような存在ではありませんっ」
「いや、俺もそんなに凄いものではない。あまり立場は気にしないでくれ」
苦笑しつつそう言ったエルベルトに、侯爵はなんとか落ち着きを取り戻したようだ。
一度だけ深呼吸をしてから、侯爵らしい態度を取り戻して言った。
「ご配慮感謝いたします。まずは――娘の命を助けていただいたとのこと、本当にありがとうございました」
事情を飲み込めていないだろうが、侯爵はとにかく感謝を伝えた。
するとコレットがカトリーヌを不満そうに睨む。
「カトリーヌ、命の危険に陥ったってことよね?」
少し怖いコレットの問いかけに、カトリーヌは今日の出来事を包み隠さず話すことにした。
「うん。実は採取が終わったところでメタルベアの親子に遭遇して……」
そこからの話を聞いて、侯爵とコレットは顔色を悪くした。さすがに命の恩人とはいえ、絶体絶命のピンチに陥っていたことまでは想像していなかったのだろう。
エルベルトがいなければ、確実にカトリーヌは死んでいた。そんな事実に、二人が深く頭を下げる。
「改めまして、娘を救っていただき感謝申し上げます」
「カトリーヌを助けてくださりありがとうございました」
「ああ、助けられて良かった。本当にたまたまだったからな」
偶然だというエルベルトの言葉に、二人の顔色はさらに悪くなった。そんな中で、ずっと馬車の近くに跪いていたラースとリンに、侯爵の視線が向く。
「お前たちも無事で良かった。……が、カトリーヌを危険に晒したのは事実だ」
侯爵の厳しい言葉に二人はより深く頭を下げた。
「仰るとおりです。いかなる罰も受ける所存です」
「カトリーヌ様を守りきれず、大変申し訳ありませんでした。弁明するつもりはございません」
カトリーヌは二人を庇いたかったが、二人が護衛という職務を全うできなかったことは事実であるため、口を挟むのはやめた。
侯爵は少し間を空けてから、はっきりと告げる。
「一年間の減給と特別訓練を受けてもらう。これは拒否できない。いいな?」
その処置は、自らが仕える主人を危険に晒した護衛に対してと考えると、かなり優しいものだった。侯爵がカトリーヌの気持ちを汲んだのだろう。
「カトリーヌ、それで構わないか?」
「もちろんです。お父様、ありがとうございます」
「エルベルト様もご意見はありませんか? エルベルト様にご迷惑をおかけした原因は、この二人の弱さです。何かあれば仰ってください」
その問いかけに、エルベルトは首を横に振った。
「いや、俺が口を挟むことじゃないだろう。一つ言えることは、そこの二人は必死にカトリーヌを守ろうとしていたということだ」
庇う言葉にカトリーヌの頬が緩み、二人の処遇の話は終わりとなった。
ラースとリンが何かを決意した表情で下がる中、侯爵が雰囲気を変えるように告げる。
「こんなところで話を進めてしまい、申し訳ございません。どうぞ屋敷にお入りください。今夜は歓迎とお礼を兼ねた夕食会といたします。すぐに客室も用意させますので、しばらく応接室でお待ちください」
「色々とありがとう。できればしばらく滞在したいのだが、構わないだろうか」
「もちろんでございます。いくらでもご滞在ください。この屋敷にはカトリーヌのための魔道具研究室がございますから」
「なんと、それは素晴らしいな。しばらく厄介になる」
それからはエルベルトの存在を国に報告しない。侯爵の友人として滞在してもらう。などの話をしながら屋敷に入った。
応接室に向かい、侯爵は諸々の指示を出すために応接室を足早に出ていく。室内に残ったのは、カトリーヌとコレット、そしてエルベルトだ。
三人でソファーに腰掛けたところで、さっそくエルベルトが口を開いた。