私は剣に身を捧げた女。王太子殿下の求愛は、お受け出来ません

「大丈夫かな、この王家」

◯プロローグ◯


「ヴィオラ。ずっと、お前が欲しかった」
 
 アレクシスの赤い瞳が、すぐ近くで私をまっすぐに見つめている。薄暗い私室の中、私たちはついに恋人同士として抱き合っていた。
 
「……っ」
 
 私もです、私もあなたが恋しかった。
 
 これまで何度飲み込んだか分からない愛の言葉を、今こそ思いのままに叫んでもよいというのに。もう、私たちの間を阻むものはなにもない。
 
 それなのに……伝えたい気持ちが大きすぎて、喉が詰まるようだ。
 
「んっ……!」
 
 深いキスを施され、舌を絡め、唇を食み合う。ひたすら熱い波に押し流されて、もう何も分からなくなる。
 
「いいか……?」
 
 唇を離して囁いたアレクシスの瞳は、見たことがないほどに強く煌めいている。この瞳にずっと焦がれていた。
 
「止めないなら、抱くぞ」
 
 ついに訪れたこの瞬間に、身も心も震えていた。やっと、やっとのことで、もう自分の気持ちに素直になれる。
 
 もう、抗えない。この人を欲する、自分の衝動に——。
 
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