私は剣に身を捧げた女。王太子殿下の求愛は、お受け出来ません
「止めないなら、抱くぞ」
夜。夕食も湯浴みも済ませ、あとは寝るだけのゆったりした時間。私はそわそわしながら、殿下の私室まで出向いた。
大きめの巾着にはお酒と、ちょっとしたつまみになるナッツ類と——あるものが入っている。どうしても、アレクシス殿下に渡したいものがあった。
それにしても、ずいぶん久しぶりに会える気がする。といっても、数日前に婚約に関する諸々で顔を合わせてはいたのだが。
それでも、ゆっくりふたりきりになれるのは久しぶりだ。それも、なんの後ろめたさも罪悪感も抱かずに過ごせるのは、初めての機会かもしれない。
何を着ていくか迷ったが、柔らかい生地のデイドレスにした。淡いイエローで、上品だが少し可愛らしいデザインの。
自室の外に出るときはいつもパンツスタイルだったが、まあ少々くつろいだ服装でも許されるだろう。
アレクシス殿下は男のような服装をしている私しか、見たことがない。いや、一度ワンピース姿で鉢合わせしたことはあったか。
こんな可愛らしい格好をして、笑われないだろうか。と、あのときは思いもしなかった心配事が頭をよぎる。
少しの不安と、大きな期待を抱きながらノックした。ほとんど間を置かずに、そっとドアが開く。
ドアの隙間からぬっと大きな手が伸び、私の手を握った。やや強引にぐいっと引かれ、気がついたら殿下の腕の中にいた。
「ヴィオラ……! 会いたかった……」