私は剣に身を捧げた女。王太子殿下の求愛は、お受け出来ません

「またいつか、お茶会をしましょう」


 早くも、秋の気配が漂い始めている。
 
 たくさんの使用人や衛兵たちが、祭りの準備に駆り立てられていた。もうすぐ、アレクシス王太子の誕生祭だ。
 
「お疲れさまっス! 総司令官!」
 
 ベンチでひと休みしていた私の隣に、リーネがどさりと腰を下ろす。
 
「総司令官、はやめてくれ。これまで通り、ヴィオラと呼んでくれればいい。公の場以外では」
 
「えー。総司令官って、めっちゃカッコいいじゃないっスか!」
 
 リーネが唇を尖らせるが、やっぱり長い付き合いの友人にその肩書きで呼ばれるのはむず痒い。
 
「これからは、王妃さまと王属騎士団の総司令官を兼任するんでしょ。やっぱり、現場には出なくなっちゃうんスか?」
 
 あからさまに、、寂しそうな口ぶりだ。私だって、がらりと変わる生活には不安がないわけではない。
 
「ああ。私は騎士団の制度を整えたり、女騎士をスカウトしたり……いってしまえば、お偉いさんとして働くことになるな」
 
 それと同時に、ヴァルスタイン王家の妃として、式典や外交の場にも立つことになる。
 
「そんなあ。もう、一緒に剣を振り回すことはないのかな……」
 
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