私は剣に身を捧げた女。王太子殿下の求愛は、お受け出来ません
「いくら強くても、女の子なんだから」
セリーヌ嬢のサロンから数日後。私は、馬車に揺られていた。ガタゴトと、王城から遠ざかっていく。
「どこに連れて行くつもりです?」
「二人きりになれる場所、かな」
向かい合って腰を下ろすアレクシス殿下が気取って言うが、口調は冗談めいている。
「はいはい。じゃあ二人っきりでラブラブデートでもしますか」
「なんかトゲがあるな……」
じとーっとした目で見てくるものだから、笑ってしまう。
あの日以来、なんとなく殿下との距離は縮まっていた。話してみると、意外と楽しい人だ。
心の底ではきちんと私を騎士として尊重してくれているのが分かっていたし、ごく普通に思いやりのある人なのも感じた。
軽口を叩き合いながら着いた場所は、森の中だった。開けた場所は短い草が茂っていて、ちょうどピクニックに良さそうだ。
「気持ちの良い場所ですね」
よく晴れた、秋の木漏れ日が心地よい。涼しい風を感じて、私は深呼吸した。
しかしいったい、こんな場所でなにをするのだろう。
「それで、なんのご用です?」