私は剣に身を捧げた女。王太子殿下の求愛は、お受け出来ません

「オレは今まで、嘘ばかりついてきた」


 雑貨店を出ると、冬の日は傾きかけていた。乗り込んだ馬車の中も、少し冷え込んでいる。
 
 馬車の中で、私たちは言葉少なだった。さっき涙を見せてしまった気まずさから、どんな顔をしていればいいか分からなくなってしまう。
 
 少しずつ、アレクシス殿下の王太子という仮面が剥がれ落ちて、本当の姿を知り始めていた。
 
 豪快で勇猛果敢だという評判も、とんでもない女好きだという噂も、全て実際のアレクシス殿下とはかけ離れている。
 
 アレクシス殿下は素晴らしい剣士ではあるが、どちらかというと慎重に賢く立ち回る守りの堅いタイプの使い手だ。
 
 そして女好きだというのも、全くの的外れだ。八方美人なのも、そういう処世術に過ぎない。
 
 これまた城下町の端っこに、次の目的地はあった。
 
「これはまた……雅やかなお店ですね」
 
「そうだろう。ここも気に入っている」
 
 重たい扉の向こうに待っていたのは、なんとも上質な空間だった。シックな内装は大邸宅の一室のようでありながら、職人の工房のようでもある。
 
 重厚な長机に張られたベルベットの上に、色とりどりの宝飾品が飾られている。それらはシャンデリアの灯りを受けて、星の瞬きのように煌めいていた。
 
「お前のために、装飾品をあつらえに来た」
 
「それはありがとうござ……え?」
 
 待て待て。私のために? なにをあつらえるって? 意味がよく分からず、きょとんとする。
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