海姫物語
《事故のとき自転車に乗っていた子が特定されました》
文面はそれだけだ。
エリクと心臓がドクンッと脈打つ。
当時のことを思い出して全身が寒くなるのを感じた。
スピードを落とさずに突っ込んできた自転車。
そして大型のトラックが目前へと迫ってくる恐怖。
エリクは強く目を閉じてその様子を脳裏から追い払った。
事故のことを聞いてもここまで鮮明に思い出してしまうことはなかったのに。
犯人が特定されたとわかった今、その記憶が津波のように押し寄せてくる。
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