海姫物語
「それ、持ってないの」
「は? 冗談だろ?」
隣に戻ってきた大輝が目を見開いて聞いてくる。
他の3人はニヤついた笑みを浮かべて大輝を見つめていた。
姫奈は咄嗟に全員から視線をそらして自分の手元へ向けた。
花火は小さくなり、そしてすぐに消えていく。
とても短くて儚い。
「今どきスマホ持ってないなんてありえないって。姫奈ちゃん嫌がってるんだよ。大輝は諦めな」
ピアス女がため息交じりに言うので、姫奈は慌てて「本当に持ってないんです」と、言葉を続けた。
「本当に?」
大輝が怪訝そうな表情を浮かべるので姫奈は真剣そのものの表情で頷いた。
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