海姫物語
服が海水を吸い込んで多少重たくなっても鍛えられた肉体ではどうってことはない。
尾ひれのついた人魚のように海中を泳ぎ、あっという間に夜の浜辺にたどり着いていた。
砂浜に上がって島のある方角へ視線を向けるけれど、エリクがついてきている様子はなくてホッと胸をなでおろす。
だけど大輝の姿はどこにも見当たらない。
今日は約束していないのだから、当たり前のことだった。
それでも心が落ち込んでしまうのは、それほど大輝のことを考える時間が増えていたからかもしれない。
姫奈は濡れた服のままで浜辺を歩き始めた。
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