海姫物語
「私が暮らしているところには畳の部屋はないんです」
「そっか。洋風なんだな」
その言葉に姫奈は首をかしげる。
洋風と言えるようなオシャレな場所ではないことだけは、確かだった。
「姫奈ちゃんのこともっと教えてよ。どうしていつも海で泳いてるの?」
大輝が窓を開けてタバコに火をつけた。
暗い場所で見るとわからなかったけれど、タバコの煙が口や鼻から出るのはちょっとおもしろい。
「海の方から来たんです」
姫奈の答えに大輝は目をパチクリさせた。
「なにそれ、本当に人魚姫みたいだな」
「そんなことないです。みんなには見えないけど、海には研究施設があるんです」
「研究施設?」
姫奈はこくりと頷く。
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