海姫物語
姫奈も同じようにして外の音を拾おうとするけれど、頑丈にできているそれのせいで話声は聞こえてこなかった。
まだ廊下に人の気配がするのにもどかしい気持ちになり、エリクがドアを少しだけ開いた。
「金ならいくらでもやる! だからその動画を消して子どもたちを返してくれ!」
それは姫奈の父親の声だった。
悲痛に満ちた声に姫奈の胸がチクリと痛む。
父親にあんな悲しい声を出させているのは自分のせいだ。
「姫奈のせいじゃないからな」
そんな気持ちを察したようにエリクが言った。
「最初に抜け穴を作ったのは俺だ。俺に責任がある」
姫奈を守ろろうとする言葉に泣きそうになってしまう。
< 95 / 136 >

この作品をシェア

pagetop