海姫物語
掃除道具入れの穴を開けたときよりも腕っぷしが上がっているせいか、壁の表面がボロボロと崩れていくにはそんなに時間がかからなかった。
姫奈は時々振り向いて大輝が部屋に入ってこないかと気にしている。
「よし、もう少しだ!」
筋肉が盛り上がった腕を何度も振り上げ、そしてっ振り下ろすたびに穴は大きく深くなっていく。
幸いエリクが選んだ場所には鉄骨などが通っていなかったため、すぐに外の光が入り込んできた。
「すごい力」
姫奈が隣で感心している間に穴は更に大きく開き、ひと一人分の広さになっていた。
毎日のようにプールで鍛えていただけはある。
「行くぞ」
< 98 / 136 >

この作品をシェア

pagetop