海姫物語
「仕方ねぇ。もう一回やるか」
長く考えている時間はなかった。
エリクは簡易ベッドを横倒しにすると、ベッドの足を外し始めた。
ネジで止めてあるだけの足はあっという間に4本のパイプになった。
それを一本握りしめて壁をほり始めた。
姫奈はふたりで抜け穴を作ったときのことを思い出した。
あのときもこうやって自力で穴を開けたんだった。
「私も手伝う!」
エリクの隣に座り込み、壁にパイプが打ち付ける。
ガンガンとうるさい音が響くけれど、頑丈にできているからその音が外に聞こえることはなかった。
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