氷の法医学者と、秘密の共犯になりました
事件は確かに終わりへ向かっていた。

橘美里は確保され、必要な証拠も揃い始めた。神崎さんに対して疑いを向けてしまったことへの整理も、署内では進んでいる。藤堂さんの容体は安定して、昨夜には短い会話もできたと聞いた。

よかった。

本当に、よかった。

けれど、安堵の隣に、どうしようもない寂しさが座っていた。

事件が終わったら、沢渡先生と一緒に動く理由も終わってしまう。

監察医務院に連絡する理由も、資料室で向かい合う理由も、雨の中で同じ傘に入る理由も、もうなくなる。
< 95 / 103 >

この作品をシェア

pagetop