麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜

1.桃の少女は攫われる



 ここはどこ?



 目を覚ますと、モモネリアは柔らかなベッドの上にいた。


 ...どうして私はこんなところにいるんだっけ?



 むくっと身体を起こす。


 見慣れない部屋をキョロキョロ見回して、まだボーっとして働かない頭を必死に回転させる。


 そう、あれは家族に頼まれた買い物をしているときーー。



******




「おじさん、このりんごちょうだい」


「はいよ、二百リングだよ」


 チャリン。


「まいど」


 果物屋でりんごを買って、家路につこうとしていたら...。


「...やっと見つけた」


「...え?....っきゃぁ!!!」


 突然、背後から低く獰猛な声音でそんな呟きが聞こえて...振り返ろうとした瞬間、誰かに強く後ろに引き寄せられて...体が宙に浮いた.....。


 それから、すごく大きな誰かの肩に担がれて...暴れても下ろしてもらえなくて...そのままーーーー。


 モモネリアは、ゆっくり今の状況を分析して、自分の置かれている立場を嫌でも理解した。


 わかった途端に、身体はぶるぶる震え出した。


 モモネリアは、攫われたのだ。
 顔を見ることはできなかったが、ものすごく体の大きな誰かに。





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