麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
「......私を、連れていって。あなたと.....“もう“離れたくないんだ」
「.......ローネル、私たち、初対面よね?」
だって、その言い方......まるで以前から私を知っていたみたい。.......ずっと離れ離れになっていたみたい。
「........」
モモネリアの問いに答えず、少し顔を俯けたローネルは口元に僅かな笑みをたたえながらも、寂しげにまつ毛を伏せた。
「........わかったわ。リードに聞いてみる」
その陰のある顔を見たら、何故だか胸が締め付けられて苦しくて、咄嗟に口走っていた。
「っ!!ありがとう」
ローネルは、パッと顔を輝かせて前のめりになる。
しまった、と思ったときには遅かった。
リードネストに確認したとて、許可がおりるとも限らない。
そもそも、この国の人間をむやみに連れ出すのはいかがなものか。
一時的なものか、長期になるかもわからないのに、軽く口走ってしまった自分を情けなく思った。
だが、ローネルが連れていってほしいとおねだりしてきた際、やはり強く断れず、お願いを聞いてあげたくなった。
この可愛らしさに惑わされているのだろうか。
それに、ローネルは目を覚まし意識もしっかりしているのだから心配など必要なくなったにも関わらず、いまだにローネルを連れて帰りたいたいという思いがモモネリアの心のすみに鎮座していた。
さて、どうしよう。
そこまで考えたとき、聞き慣れた声が耳元でして、後ろから温かな体温を感じた。