麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
「お嬢さん、お目が高いね。それはね、ここいらじゃ手に入らない外国の海に生息する貝でね。『運命の赤い糸を手繰り寄せる』って言い伝えがあるらしい。つまり、運命の人と出会えるってことさ。真珠も天然物で、100カイリはくだらないよ。質の良さは、おりがみつきさ」
威勢よく、女店主が話しかけてきた。
「よく似合う。気に入ったならひとつ買って行こう」
リードネストは満足げに頷くと、店主に目で合図してお金を支払っていく。
「えっ、でも.....さっきから買ってもらってばかりだわ。こんなにたくさん、悪いわ」
先ほどから、モモネリアが足をとめ手に取って見たものだけでなく、少し気になりチラッと視線を向けたものまで全てリードネストが購入していってしまうのだ。
言葉に出してもいないのに、視線の先にあるものを的確に購入してくるあたりがリードネストらしい。
どこまでもモモネリアをよく見ている。
「モモネリアは、慎ましいな。そんなお前も魅力的だが、俺には素直に甘えてくれ。俺はお前になら何でもしてやりたい。それに、俺が贈ったもので全身を飾るお前を見るのが、好きなんだ。モモネリアを包むものが、全て俺からの贈り物なんて、幸せすぎる。......『運命の赤い糸を手繰り寄せる』っていうのはもう必要ないがな。モモネリアの魂の伴侶は、俺だけだ」
「もう、リードったら」
そう言われると、断れない。
「ちょっとぉ。お二人さん。私の存在、忘れないでよぉ!」
「......なんだ、お前いたのか」
リードネストの右肩には、ローネルがのっていた。
二人の世界に入ってしまって、戻ってこないモモネリアとリードネストに、とうとう大声で呼びかけたのだ。