麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
「うぅ。リードは冷たいよね。ついてきていいって言ったのはリードじゃないかぁ」
余程傷付いたのか、ローネルはぐすん、と鼻を鳴らした。
「ごめんね......ローネル。初めての市場に興奮しちゃって。つい我を忘れてしまったわ。許してちょうだい?.......次はローネルが見たがっていた、棒付きのカラフルなチョコレートのお店に行ってみましょ?」
気を取り直して言ったモモネリアに、ローネルは甘えるようにふわりと飛んで頬に擦り寄った。
それを見てリードネストの機嫌は、急降下する。
凍りつきそうな冷気を放ち、尻尾と耳はピンと張りつめている。
地を這うほどの低い声が、ローネルを咎めた。
「.......ローネル。やめろ。.......だいたい、しつこくついてきたいと聞かなかったのはお前だろ。......おい。モモネリアにベタベタするな」
言っても聞かないローネルにさらに苛立ち、リードネストはローネルをつまみ上げ、自分の右肩に投げる。
「うわぁ!.....ぶーーー!リードのいじわる!ちょっとくらいモモネリアとくっついたっていいじゃないかぁ」
「ダメだ。モモネリアにくっついていいのも、触れていいのも、全て俺だけだ」
「.......独占欲強すぎて、嫌われるよ」
不満が溜まるローネルは、リードネストが一番堪えるであろう言い方を選んだ。
ギクリ、と肩を揺らした彼は、頭の上の三角耳を倒して恐々とモモネリアに視線を向けた。
「......そんなことで嫌いません」
モモネリアはふっと口を小さく丸めて吹き出し、フォローした。
「もう。モモネリアが甘やかすから~。リードがこんなに私に鬼畜になるんだよ~」
「ふふ、ごめんね。ローネル」
「モモネリアが謝ることではない」
「.......もう勝手にして。バカップルめ」
吐き捨てるように言ったローネルは、諦めてリードネストの肩に座り直した。