麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
「......普通は、一人の身体に一つの魂と決まっている。だが、稀にあるんだ。神のイタズラか、はたまた偶然か。一つの身体に二つの魂を宿すことが。.....これは、僕が聞いた話だから、実際に会うのは初めてなんだけどね。本来、身体に一つの魂が宿った瞬間壁ができて、他の魂は入り込めないようになる。でも.......限りなく低い確率で、寸分違わず同時に二つの魂が一つの身体に入り込むことがあるらしい。壁ができる前だから、入り込めてしまうんだよね」
.........それが、私、ということ?
「.......身体に宿る魂は、輪廻転生して次の身体に宿っている。つまり、前世がある魂、ということだ。そして、それが新しい身体に宿るとき、前世の記憶は消える。全てが生まれ変わるんだ。リセットされる、と言えばわかりやすいかな。.....でも、番だけは違う。一つの魂には、唯一無二の番う魂が存在する。それは、何度生まれ変わろうと、永遠に番同士だ」
「..........」
「ちなみに、番は必ず同じ時代や同じ国に生まれるわけではない。出会えることは珍しく、奇跡みたいなものだ」
「........じゃぁ、私は、その.....とてつもなく低い確率で、同時に二つの魂が身体に入り込んで.......さらに、出会えることも奇跡のはずの番に.......リードとローネル、どちらともに出会ってしまった、ということ?」
「......うん、その通り」
「まさか.......そんなことってありえるの?......都合よく全てが重なるなんて.....」
ますます信じられなくて、パニックだ。
モモネリアは頭を、抱えた。
「........そうだよね。でも本当なんだ。ただ......魂が二つ宿ったのは予想外だけど......番としてまた会えたのは......もしかしたら僕たちの“約束“があったから、かな」
「..........?」
「........本当に覚えてない、んだね。.......仕方ないよね。生まれ変わる時に記憶も消えるから......」
俯き、ブツブツとローネルが呟くが、声が小さすぎて聞き取れない。
「.........ローネル?」
ローネルは、顔をあげ、苦しげに顔を歪めた。
そして、小さく息を吐くと、ゆっくりと話し始めたーー。