麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜

「どうして、って.......君がそれを言うんだね。......じゃぁ、教えてあげる。.......モモネリア。君はね、僕の唯一。世界でたったひとりの、大切な番なんだ」



 ローネルは頬を紅潮させ、恍惚とした表情で告げた。




「........つ、がい?」



 その言葉で、恐怖に襲われていたはずのモモネリアの表情は一転、訝しげに変わる。




「どういうこと?.....私は、リードの.....リードネストの番よ。番は唯一無二、でしょ?......二人の番がいるなんてありえないわ」




 ゆっくりと、でもはっきりと、矛盾を指摘したモモネリアを、ローネルは肯定した。




「.......そう。本来なら、ね。番は唯一無二で、一人に二人の番だなんて、ありえない。一夫多妻の種族でさえ、番として一緒にいるのは一人で、他の妻は番ではないただ相性がいい者たち。それがこの世界の常識。君は、正しい」





「..........じゃぁ」




「だが。何事にも例外はつきものだ」



 そう言ったローネルは、憤りと苛立ち、悲しみと寂しさ。



 様々な感情を含んだ、とても複雑な顔をしていた。




「......例外?」



「うん。あのね、モモネリア。君の身体には、二つの魂が宿っているんだ」




「..........」


 モモネリアは、言われた意味が掴めず、呆然とする。

 一つの身体に、二つの魂?


 そんなことがありえるの?




「........信じられないという顔だね。まぁ、そりゃそうだろうね。僕も、君と“再会“できたときは信じられなかったよ。君の身体に、二つの魂のオーラを感じることも。すでに、僕以外の番と出会い、心を許していたことも......」



「.............」



「でも、確かだ。僕たちドワーフは、不思議な力を持つからね。有する能力はそれぞれ違うけど、僕は見ようと思えば、魂の色やオーラを見ることもできる。モモネリア、君の身体には確かに異なる二つの魂が宿っている」



「...........」




 モモネリアは、自身の両手をゆっくりあげ、掌をまじまじと見つめる。

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