麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
「ふふ、よくわかってるね」
「当たり前だろ。カレンのことは、僕が一番よく知ってる。昔から何かあるとここに来て、祈ってるだろ」
「........そうね」
「........カレン?どうした?」
「........ううん、なんでもないの。.......マリッジブルーかしら。やぁね、今更。結婚するのは大好きなあなたなのに。.......私のことを一番理解してくれる、大切なあなたなのに」
「........不安?」
「.......わからないの。幸せ.....なはず、なのに。......その幸せが、何故か、こわい......なんて。おかしい、わよね」
「.......おかしくなんてないさ。それだけ、幸せを感じてくれているんだね。......カレン。僕は、どんな君も愛してる。それこそ、いつも笑顔で明るいカレンも、僕の前でだけ本音をこぼしてくれるカレンも、こうして悩むカレンも、どんな君でも愛おしい。だから、僕を頼って。僕に君のどんな気持ちも教えて。僕は、君の支えになりたい。隣でずっと寄り添って生きていきたいんだ。......幸せなときも、苦しいときも。一生君の隣にいたい」
.....本当に大きな人。いつでも私を受け止めてくれる。安心して飛び込んでいける。
「......幸せ、なの。あなたの隣にいられて、あなたと笑い合えて。でもね、幸せじゃなくてもいいの。例え、苦しい時でも。私も、あなたの隣にいたい」
普段絶対に涙を見せない彼女が、はらはらと涙を流す。
ロイドは、カレンと繋いだ右手とは逆の手で、そっとその涙を拭った。
「.......うん」
「......夢をみたの。......私、が死ぬ夢。.....私、あなたの隣に居られるなら、それだけでいい。他に何もいらない。でも、あなたと.....ロイドと離れるのだけは耐えられないわ」
涙は止まらないまま、彼女の長いスカートにたくさんの染みを作っていく。
カレンのあいている右手がロイドの胸元を掴み、くしゃっと握る。まるで縋り付くように。
「カレン.....」