麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜



 ロイドはカレンを抱きしめた。



 涙が止まるまで、ずっと。






 二人はドワーフだ。



 当然、生まれながらにそれぞれ不思議な力を有していた。



 そして、カレンの持つ力の一つに夢が現実になる、予知夢の力があった。





 今までも、迷子になった近所の犬を予知夢で探しあてたり、身近な者の怪我を予知夢で回避することがあったのだ。





 そのカレンが、見た夢なら現実になるのかもしれない.....。




 ロイドは、小さく震えた。




 カレンに心配をかけまいと必死に堪えたが、やはり衝撃的だった。




 
 どんな死に方なのか、いつ死ぬのか、夢の内容で聞かなければならないことはたくさんあるはずなのに、怖くて聞けない。





 回避できないものだったら.....。



 もしも、このあとすぐ起こることだったら......。





 ロイドを、言いしれぬ恐怖が襲ってきた。





 二人は、そのまま長い間、抱き合っていた。




 どうすることが正解なのか、二人の中で答えが出なかったーーー。


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