麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜


「......毎日、手紙を書いた。会いたくてたまらない日も、この湖で食べた桃と君の笑顔を思い出して、必死に勉強した。立派になって、必ず君を迎え行くと誓って」



「...........」


「......だが、叶わなかった。......数年後、君は命を絶って俺の前から儚く消えた.....。君から届く手紙の返事には、苦しい胸の内が全く語られていなかった。きっと、優しい君は俺に心配をかけまいと耐えていたんだろう。......俺は、激しく後悔して、泣いて、暴れて、怒り狂った」


「......っ」


 番を失って、どれほど絶望しただろう。


 謝っても謝りきれない。



 モモネリアは、後悔や悲しみで溢れてくる涙を止められない。





「........私、あなたに.....前世のあなたに、なんて謝ればいいのか.......本当に、ごめんなさ、い」




「.......いいんだ、モモネリア。謝らないで。俺こそ、君を守れなかった。謝っても許されない。すまなかった、モモネリア」




 モモネリアは、泣きながら首を振った。



********


 そして、なんとなく察した。

 リードネストが自分を攫ってきた理由。



 あの日は自分が家族にとってただの他人で、都合のいい召使いであったことを知り、絶望していた。



 あのままりんごを買って帰っても、弱い私は自分の居場所など見出せずに、命を絶つ選択をしなかったとは言い切れない。






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