麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
 リードネストがローネルに出した条件は、細かかった。

 モモネリアに飛びつかない。

 ぺろぺろ舐めない。顔を舐め回すなど言語道断。

 ローネルが行き来していいのは邸の一階のみ。
 
 寝室など、二階には絶対立ち入らないこと。

 それから、モモネリアと二人きりにはならないこと。


 犬に「ぺろぺろ舐めない」は無理ではなかろうか、とローネルは思うが、条件をなくなく受け入れた。
 


 ちなみに、それらの約束事は、魔法契約書できちんと契約としてとり交わしたため、破ることでそれ相応のペナルティも課されている。


 あまりに理不尽だ、と嘆いていたが、リードネストは「罪にも問わず、モモネリアのそばにいることも認めているんだ。これくらいの罰で文句があるなら、出て行ってくれて構わない」と堂々と跳ね返していた。



 ローネルは、「うっ」と胸をおさえて押し黙った。






*********



 リンゴーン。
 リンゴーン。




 晴れ渡った青空の下、低く耳心地のいい鐘の音が響く。




 リードネストとモモネリアは、この日、トーリェンシア国の大聖堂で正式に夫婦になる。




 神の前で、二人は永遠を誓い合う。




 たくさんの人に見守られ、祝福されてーーー。




 そこに、聞き覚えのある声が聞こえた。


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