麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
あの日教会で、モモネリアに指摘されて初めて、自分がモモネリアの中のカレンの魂を見つめていたことに気がついた。
そして、そんな僕より、自身を見てくれるリードネストを愛しているという彼女に、僕は唇を噛み締めた。
当然だ。
自分の中の、なんとなくいると感じる魂を見つめる男なんかより、自身を見てくれる者の方がいいに決まっている。
わかっている。
でも。それでも。
自分は....『カレンの魂が宿るモモネリア』が愛おしい。
“彼女“のそばにいたい。
“彼女“を幸せにしてあげたい。
すでにその時には、僕の中で、カレンとモモネリアの境界線がわからなくなっていた。
僕が見る、“彼女“はカレンでもあり、モモネリアでもあるのだ。
だからーーー。
キスしたんだ。
唇ではなく......“彼女“の可愛く丸い額に。
婚姻を結ぶためではなく。
“彼女“を幸せにするため.......友愛の意味を込めて。
そして、僕は決めた。
これからは、親友として、“彼女“のそばにいることを。
僕の呟きは、モモネリアの耳に届いていなかったと思うけれど、確かにあの時誓ったんだ。
『僕は本当に君を愛してる。.......だからこそ、僕は君を諦めるよ。そして、今度は友として、君のそばに。幸せになって、カレン。.......そして“モモネリア“。前世も...今も....ずっとずっと、大切な人』
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自分の中でひっそりと立てた誓いを、思い返しながら、ローネルは空を見上げる。
“彼“の心を映すように、空は雲ひとつなく澄んでいた。
もうすぐ、この世で一番大切な親友の、幸せな幸せな結婚式。
春のうららかな陽気が、すぐそこにせまっていた。
人生でもっとも大きな祝福を。
愛する彼女の人生が、永遠に幸せでありますように。