麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
「ちょっと。聞いてる?....もう、どうせ愛しい番のことでも考えてたんでしょう。全く。....それで?どんな子なの?その.....モモネリアって子は」
今まで無表情を貫いていたリードネストが、明らかにムッとして鋭くリンツを睨みながら低い声を発する。
「.....俺のモモネリアを勝手に名前で呼ぶな」
リンツは、呆れ顔になりゆるゆると首を振る。
「....わかったわよ。そんな怖い顔で怒らないでよ。独占欲の強い男は嫌われるわよ」
「.....ふん」
嫌われる、と言われて一瞬狼狽えたのが手に取るようにわかって、リンツはさらにニヤニヤと笑みを深める。
「そんなに、大切なの?番ちゃんが」
「.....あぁ。もうモモネリアなしでは生きていけない。俺は、あんなに可憐で繊細で美しい生き物を知らない。彼女は、俺が大切に....大切に守っていきたい。こんな気持ちを教えてくれたことにも感謝してもしきれないよ」
その瞬間、リードネストがふんわり甘く笑った。
モモネリアに見せる、あの柔らかい笑顔だ。
リンツは、目を瞬かせる。
「.....へぇ。あなたのそんな表情が見られるとはね。.....まぁ、あれね。おめでとう、とでも言っておきましょうか。せいぜい嫉妬心と独占欲をむき出しにしすぎて、愛想を尽かされないようにね」