麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
ふふん、と意味ありげに笑って見せたリンツに、リードネストは何か言おうと口を開きかけた。
その時ーー。
ガサッ。
後ろで何か小さな音がして、リードネストは振り返った。そこに、リードネストが見間違うはずのない背中が遠ざかっていくのが見えたのだ。
「.......モモネリア?」
リンツはその声に、リードネストの顔を見上げる。
「....なに?どうしたの?」
「.....モモネリア!.......泣いて、いるのか?.....離せ!追いかける」
「....えっ!?ちょっ.....なに!?どうしたのよーー!」
リードネストは、いきなりリンツの腕をすごい力で振り払い、その問いかけにも答えずに一目散に走っていく。リンツは、ただ呆然とその後ろ姿を見送っていた。