麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜



「.....え?え?....だ、だって。腕を絡めて、優しく笑いかけてたし」



 モモネリアの頭の中は色んなはてなマークが飛んで、忙しない。



「腕を絡めていたのは、ただあいつが調子に乗ってふざけていただけだろう。笑っていたのは......お前の話しをしていたんだ。俺はお前のことになると、いつも口元が締まりなくなる。自然と緩むんだ。誤解させてすまなかった。事情を知らないモモネリアが見たらどう思うか、俺が考えるべきところだったな」




「........」




「詳しくは言えないが、奴が今日来たのは王から頼まれた仕事の件だ。内密に進めなければならない事情があって、リンツの変装は王の使者だと気づかれないための狙いがあった」




「......そう、だったんだ。私、勝手に勘違いして.....嫉妬、して......ごめんなさい」




 事実をやっと理解して、モモネリアはしゅんと項垂れた。キツく問いただす前に、きちんと理由を尋ねるべきだったと恥ずかしくなった。



「いや、モモネリアが謝ることはない。俺の落ち度だ。これからはお前の気持ちをもっと考えて行動する。......そっちに、行ってもいいか?」


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