麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜

 石を掘り当てるのは、ドワーフ。


 ドワーフは、昔から魔力とは異なる不思議な力を持ち、持つ力もドワーフ個々により違うらしい。

 中でも、目的のものを探し当てる能力を持つ者は多く、石はその力を発揮して掘り当てる。


 そして、それが魔法使いに渡り、魔力が込められた後、『魔妖石』と呼ばれ、ナターシェリア国内で販売されるのだ。


 この国にきた人間や獣人は、まずこの石を購入する。


 形や色は一つとして同じものはなく、新婚旅行でナターシェリア国に来た夫婦は、自身の瞳の色や髪の色と同じ石を贈り合い、のちに形はそのままに宝石としてアクセサリーに加工する者もいるそうだ。


 モモネリアにとって、未知の領域だ。


 リードネストは、この国に何度か訪れているようで、「すでに魔妖石は持っている」と本物を見せてくれた。


 リードネストの石は、親指ほどの大きさの菱形をしており、透明度の高いエメラルドグリーン。


 じっと眺めれば、吸い込まれてしまいそうなほど美しい色をしている。

 思わず、息を呑んだ。

 魔力が込められているとは、人間のモモネリアにはわからない。

 しかし、その不思議な存在感は確かに石から感じ、ただの路傍の石ではないことはなんとなく察せられる。


 そんな石だった。



 .......私の瞳の色の石。嬉しい。


 モモネリアは、リードネストの持つ石が自分と出会う前に購入した石だとわかっていても、偶然にも自分の色であったことを素直に喜んだ。







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