初恋の人がいきなり上司で、訳あり同居生活
「杏ちゃんも来月には日本を経つのよね?」

デザートに用意したイチゴのパンナコッタを食べながら、塔子が尋ねた。

「ええ」

今まで親や周囲に導かれ、あまり自己主張をすることもなく育ってきた杏だが、皆の前で塔子との交際を宣言した雄平を見て、自分も自らの意思で人生を歩み出したいと思うようになり、1年間のデンマーク留学を決めたようだ。
大好きな北欧家具や雑貨を勉強し、ゆくゆくはインテリアデザイナーとして働きたいのだと言う。

「寂しくなるわね」
「でも、二人の結婚式には必ず帰ってきますから」
「そうね、ありがとう」

お父様の前で交際宣言をしたものの、神林家の跡取りである雄平の結婚はそう簡単ではないらしく、早くても今年の秋ぐらいにと準備が進んでいる。
塔子のほうはほぼ親族も友人もいない状態のため、タカミヤホールディングス次期社長である雄平のお披露目パーティーのようになりそうだが、それはそれで仕方がないのだろう。
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